【スイス就活】スイスで働く日本人をインタビュー1
ブログの新しいテーマ「スイスで働いている日本人」について、複数の記事に分けて紹介していきます。
その前にまずは「日本人がスイスで働くための条件」について説明します。
1. スイスで就労可能なビザ
日本人がスイスで働くには就労可能なビザを持っている必要があります。
スイスに住んでいる日本人が取得しているビザは「Bビザ」や「Cビザ」が一般的ですが、その他にも日本人が取得できるビザはあります。
スイスで就業許可のある日本人の多くは
- スイスでの就労
- スイス人やスイスに滞在許可のある人の配偶者
- スイスでの学業
などの理由でビザを保持しています。
スイスではEU/EFTA諸国の人に比べ、日本人が就労を理由にビザを習得できる条件は厳しくなっています。
スイスにはスイス人やEU/EFTAの人を優先して雇わなければならないというルールがあるからです。
雇用主は日本人を雇うためにビザを申請する場合、該当の業務が別のスイス人やEU/EFTAの人で代替が効かない理由を説明し、認められなければなりません。
ビザが下りる有名な例だと「寿司職人」や「日本食レストランの調理師」ですが、調理師免許を持っていることが前提条件となります。
勤務先の州や居住する州によって
- ビザの種類
- 求められる語学レベル
- 語学証明書の提出を求められる時期
などの項目が異なります。しかし多くの場合でA1~A2の語学力が求められます。
スイスには4つの公用語があります。
- ドイツ語
- フランス語
- イタリア語
- ロマンシュ語
地域によって話されている言語が異なることから、スイスで仕事を探す際には事前に希望の勤務地を確認することをおすすめします。
ビザに関する詳しい内容は求人先の会社や各州の外国人局のホームページを確認してください。
2. 日本食レストランのキッチンで働くTさん
2.1. Bernのキッチンから日本食をお届け
Tさんは現在、Bernの飲食系グループ会社の日本食部門で調理の仕事をしています。
もう1人の日本人のシェフと2人で日本食系のbuffetやお寿司、ちらし寿司などのメニューを提供しています。
イベント時には寿司バーに変身してVIPラウンジのお客さんにお寿司を握っています。
2.2. スイスで働くようになったきっかけ
日本では約10年間飲食店で働いていた経験があります。
14年前に日本の飲食業界から抜け出して新しい環境に身を置くためにスイスに引っ越してきました。
スイスで最初に働いていたお店はスイスに来る前に日本の求人サイトから応募して採用された職場です。
その後に現地の日本食レストラン4店舗を経験してから現在のお店で働いています。
2.3. 必要なドイツ語レベル
現在保有しているビザを申請するためにA2の語学証明が必要だったこともあり、ドイツ語のレベルはA2です。
職場で日本人以外のスタッフとはドイツ語で会話をしています。
日本食レストランだと大抵他にドイツ語が話せる日本人の従業員がいることから、特に言語の面で困ったことはないようです。
2.4. 日本の職場との比較
日本では毎日サービス残業を含めて14時間以上拘束されていました。
それに比べて現在の職場の拘束時間は9時間なので、約5時間短くなりました。
物価の違いもありますが、給料は額面だけで見ると日本の時と比べて2倍に増えました。
加えてイベントシーズンに発生する年間合計200時間~250時間の残業に対しては、基本的に残業代が支給されます。
社員以外の一般の方もレストランを利用することができるので、是非Bernに行く際には訪れてみて下さい。
PostFinance Arena - Restaurant Chäsbueb & The Japanese Kitchen
営業は基本的にランチタイム(11:30~13:30)のみです。
Tさんから送っていただいた牛丼と鶏のテリマヨ丼の写真です。
PostFinance Arenaでアイスホッケーの試合が開催される日に、VIP席に座ってゲームを鑑賞しながら、Tさんの握ったお寿司をいただくという方法もあります。
しかし後者の場合はVIPラウンジの年間契約の使用料に加えて、試合観戦用のチケット費用もかかるので、残念ながらハードルが高いです。
3. 日本食材店で働くCさん
Cさんはtake awayを兼ねた日本食材店でアルバイトとして週3~4日働いています。
一緒に働いている従業員はほぼ全員日本人なので、従業員同士では日本語でコミュニケーションをとっています。接客はドイツ語でします。
業務内容は主に表舞台と裏方の業務の2つに分かれています。
3.1. 調理や販売商品の準備
バックグラウンドの仕事としては、主にtake awayの食事を調理したり仕込んだりすることです。
また日本から品物が入荷した時には、品物の内容を翻訳してドイツ語のラベルを作成したりします。
翻訳は基本翻訳ソフトを用いて行いますが、中には違う言い回しや解釈で訳されてしまうこともあります。
このことから、正確なドイツ語に訳されているかも確認しながらやる必要があります。
3.2. お会計や商品説明などの販売業務
店頭では商品とtake awayの販売業務を行います。
商品の会計のみをするのではなく、お客さんからの質問に応じることも販売の仕事です。
特に日本に興味があるお客さんが多いので、日本や日本食材についての多く質問を受けます。
Cさんは現在ドイツ語のA2を取得してB1の勉強をしていますが、コミュニケーションで苦労する場面もあります。
お客さんの質問を理解できても、うまく説明できない時があるからです。
スイス人が話すスイスドイツ語は、ドイツで話されていたり、スイスの語学学校で習う高ドイツ語と大きくかけ離れています。
このことからお客さんにスイスドイツ語で話されて、混乱してしまうこともあるようです。
しかしお店に来る人は優しい人が多いので、ゆっくり話したり高ドイツ語に切り替えて話してくれる人がいて、お客さんに助けられる場面もあります。
まだ接客の業務は慣れていないこともあり、そこまで長く表で仕事をすることはありません。
しかし表舞台での仕事を通じて表での業務も沢山経験しないと、ドイツ語力や経験値も上げることができないと感じるようになったそうです。
4. 日本食レストランで働くMさん
4.1. レストランのホールで活躍中
2021年の夏に日本からスイスに引っ越してきたMさんは、現在日本食レストランのホールでアルバイトとして働いて3ヶ月目です。
日本で接客の経験はありませんが、過去にレストランのキッチンやバーで働いていました。
このことから飲食店の勝手がある程度分かっているので、働き始める際にはそこまで大きな不安はありませんでした。
一緒に働いている従業員は全員日本人なので、従業員同士では日本語で会話をしています。
Zürichにあるお店なので、英語が話せるお客さんや英語しか話せないお客さんも多く来店することから、接客では8割ドイツ語、2割英語になります。
また万が一ドイツ語が分からなくて困った際も、ドイツ語が堪能な先輩に助けてもらえるので安心して働けます。
英語は元々得意なことから特に問題ありませんが、働き始めた時のドイツ語のレベルはA1〜A2だったことから、簡単な受け答えが可能なくらいでした。
ドイツ語の勉強の成果が出たことにより、現在のドイツ語はA2〜B1レベルまで上がりました。
また仕事にも慣れてきたことから、接客にも余裕が出てくるようになりました。
平日は毎日午前中に語学学校に通っていますが、職場は仕事と学校の両立を理解してくれる所なので、とても心強いと話していました。
4.2. 日本とスイスのレストランの違い
特に接客時に気をつけていることは、注文前や食事中のお客さんを気遣って“alles gut?“など積極的に声かけをするようにしていることです。
日本のレストランの場合は、大抵お客さんが必要な時に自ら店員に声をかけます。
しかしこちらでは基本的に店員がお客さんに声をかける習慣があるからです。
4.3. やりがいを感じる瞬間
Mさんはお客さんのドイツ語が理解できるようになったり、お客さんから自分の接客やドイツ語に関して褒められると特にやりがいを感じるそうです。
特にドイツ語に関するやりがいは、ドイツ語を勉強するモチベーションにも繋がります。
現在はまだ働く時間が少ないことから物足りないと感じる部分もあります。
しかしスイスに来てから今の仕事を始める前は働いていなかったことから、働く場所があること自体に感謝していますし、楽しみながら働くことができていると言っていました。
今回はスイスに在住の日本人3名の方から伺った内容を紹介させていただきました。
インタビューに協力してくださったTさん、Cさん、Mさんに心より感謝申し上げます。
私のインタビューを受けてブログに掲載されても良いという方はご連絡をください。
皆様のご連絡をお待ちしております。
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