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21年春に移住。在住歴はまだ浅いですが、好奇心旺盛な私の紹介するスイスワールドをお楽しみください!

【スイス就活】スイスで働く日本人をインタビュー2

今回は外資系大企業のスイス支社で働いている日本人のMさんから伺ったお話を紹介します。

これまでのスイスで働く日本人について書いた記事は以下の通りです。

1.スイスで働く日本人をインタビュー1
2.スイスで働く日本人をインタビュー2←今回の内容!

1. 現在のポジションに就いたきっかけ

1.1. スイス就活での辛い経験

旦那さんがスイスで仕事をしていたことから、スイスで同棲するためにMさんは日本で働きながらスイスでの仕事を探し始めました。

応募にあたって、これまで経験してきた業界や職種に近いオープンポジションを検索して、多くの会社に履歴書を送りました。
しかしお祈りメールすらも送られてこない場合がほとんどで、絶望的な状況でした。

当時のMさんは、まだ日本にいたことからスイスでの労働許可がありませんでした。
スイスではEU/EFTA外の人に労働ビザを発給する要件は厳しいことから、多くの企業は既に労働許可がある人を採りたがります。(詳しくはスイスで働く日本人をインタビュー1の「スイスで就労可能なビザ」を参照。)

このこともあり書類すらもなかなか通らなかったので、スイスで労働許可がない状態で仕事を探すのは難易度が高いと感じたそうです。

1.2. 社内転籍を利用してスイスに異動

そこで当時働いていた日本での職場で、同じ会社のスイス支社にオープンポジションがあるのを見つけて応募しました。
今までの会社での功績と、応募にあたって積極的に動いたこともあり、見事ポジションを勝ち取ること成功しました。
そして「社内転籍」として日本の支社から異動して、スイスの支社で働き始めました。


1.3. 日系企業からの転籍は難易度が高め

(少し私から追加)
外資系企業からではなく、日本の企業からスイス支社に社内転籍をする方法も、不可能なわけではありません。
技術職として転籍する場合は認められる可能性があるかもしれません。
しかし、専門的な知識を持っている場合以外、文系の人が事務職としてスイスで転籍できる確率は低いです。

大抵の日系企業のスイスにある支社は、スイスの物価が高いことから小規模であり、日本の本社とのやり取りが少ないからです。
多くの場合、ヨーロッパの別の国にある「ヨーロッパHQ」の下にスイス支社があることから、やりとりはヨーロッパHQースイス支社間のみ(または別のヨーロッパ支社同士)に限られます。
このことから働いている会社がスイスに支社があったとしても、文系職種の人が現地で日本人であることを活かした業務に就くために、社内転籍できる可能性は低いと思います。

2. 現在の仕事

2.1. 業務内容

Mさんは外資系企業のスイス支社のサプライチェーン関連部署で働いています。
ITチームと連携して、生産計画が滞りなく行われるようにERP(基幹システム)の管理をしています。
オペレーションチームに属していることから、業務の簡素化や自動化も行います。

業務自体は日本支社での内容と似ていますが、独自の社内システムが複雑だったりすることから、日々の勉強は欠かせません。
現在は社内のトレーニングなどを利用しながら、スキルや知識を身につけている最中です。

2.2. 社内公用語は英語

社内公用語は英語で、スイス支社にドイツ語が話せる人は極めて少ないです。
このことからドイツ語を勉強し始めたばかりのMさんは、業務で言語に困ることはないようです。
しかしスイス国内の求人で、ドイツ語(またはフランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が求めらず、英語だけが必要要件になっているものは多くないだろうと言っています。
つまりスイスで仕事を探すにあたっては、スイスの公用語(B1~)を話せることが重要になってきます。

3. 日本での学業や前職

日本の支社では、サプライチェーン関連部署で、データ分析業務をしていました。
日本の大学では文系の学部を専攻し、英語圏での長期留学も経験しました。
現在の仕事は英語で行っていることから、学生時代に英語を勉強しておいて良かったと振り返っています。
大学卒業後は外資系企業で働いた後、アメリカの大学院に行ってビジネスを勉強しました。
大学院を卒業してから、前職とは別の外資系企業の日本支社で数年働いた後、現在は同じ会社のスイス支社で働いています。

4. 日本の支社とスイス支社の違い

4.1. 良い点3つ

スイス支社で働くことの良い点として3つ挙げていました。

4.1.1. 給料水準の高さ

職位で言うとまだ平社員(アシスタントマネージャー)なのですが、基本給が年間CHF100,000強あり、別途ボーナスも支給されます。
もちろん日本に比べてスイスの物価が高いのは承知ですが、額面だけで見ると日本支社にいた時と比較して約3倍程の額です。

4.1.2. 労働環境の良さ

残業はほぼ発生しないのに加えて、有給休暇も年間28日、病気休暇も3ヶ月間ほどあります。
加えて在宅勤務も可能なので、朝や仕事終わりの時間を有効に使えるのも、とても魅力的だと感じているそうです。

4.1.3. 昇格の速さ

スイス支社では20 - 30代の比較的若手である社員が次々に昇格しています。
日本支社では10年間働いてからようやく就けるようなポジションでも、こちらでは能力次第で年齢に関係なく昇格している印象だそうです。

4.2 不満な点2つ

スイス支社で働くことの不満な点として2つ挙げていました。

4.2.1. オフィスの立地と食堂

強いてあげるとすれば、草原の中にあるオフィスの立地が微妙な部分です。
また施設内にある食堂のご飯の価格は一番安いものだと約13CHFと抑えめですが、味がいまいちなのも少々残念な部分のようです。

4.2.2. 産休育休の短さ

職場のことではありませんが、スイスの子育て環境に関して心配な面が多いようです。
産休育休が約14週間と他の国に比べて短いことや、両親が近くに住んでいないことから、周りに子育てを気軽に頼めそうな人がいないからです。
このことから将来母親になる可能性がある身としては、とても不安だそうです。

(少し私から追加)
スイスの産休日数は14週間で、これはStatistaのレポートに書かれている他のヨーロッパ諸国と比べると、一番少ないグループに属していることが分かります。

5. スイス企業での面接

現在の仕事を始める前に就活していた時、過去にスイスの現地企業の2社から呼ばれて面接を受けました。
その2社とも、業界や応募職種は前職とほぼ同じところでした。

5.1. 面接の内容

面接で聞かれた内容の一部は以下の通りです。

- なぜスイスなのか?労働許可はあるか?
- これまでのAchievements は何か?
- 困難だったことはあるか?
- 強みはなにか?弱みはなにか?
- なぜ我が社に興味があるか?
- ケーススタディ90分

ケーススタディでは、仮想のビジネスケースが用意されており、時間内にエクセルを使って分析を行うものでした。
データ分析系のポジションを応募したことから、このようなケーススタディがあったのだと思います。

またアメリカの大学院を卒業していたこともあり、応募する際に会社から英語のスコアシートの提出を求められることや、面接で英語力に関する質問はされなかったようです。

6. 将来の目標

今のところ、現在の仕事や職場環境が合っているので、しばらくは今の会社で働き、昇格はゆっくり目指していけたらと思っているそうです。

転職については現時点では考えていませんが、スイス国内には英語だけの求人は多くないので、ドイツ語が話せないと転職は難航するはずです。
このことから将来もし転職を考えた時に選択肢を少しでも増やせるよう、ドイツ語の勉強も始めようと思うと話していました。

 

インタビューに協力してくださったMさんに心より感謝申し上げます。

私のインタビューを受けてブログに掲載されても良いという方はご連絡をください。
皆様のご連絡をお待ちしております。

スイスでの仕事に関しての記事のみを探したい場合は、こちらから見られるようになっています。

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